No.7516は福井県の古村醤油、ヒゲコ 越前カニ出汁らーめん きのこ。ここは社名通り醤油や味噌の製造を主とするところで、ラーメンを生業とする会社ではない。今回紹介する製品はきのこの具が付いているが、他に根菜とあさり付きのものもある。
パッケージの造りは他にない個性的なもので、短い棒状乾燥麺と乾燥きのこが一緒に入っており、別途液体スープが付いている。そして上部には製品説明のための紙の帯が貼られていて、とても新鮮な印象を受けた。大規模生産ではなく手工業的な製造をしているものと察せられ、価格が高い(税込810円)のは仕方ないだろう。きっと中身も大量生産の即席麺とは違う世界があるものと期待する。
食べてみて、期待通りやはり他には無いユニークな世界が繰り広げられていた。スープは基本的に静寂でスムーズ、砂丘のように石ころ等硬い突起物がない。最初に口に含んだ瞬間、液体スープを溶くお湯の量を入れすぎたか?と思うほど攻撃性の少ない味。
慌てて味覚のゲインを最高感度に上げて二口目を口に含むと、必要な味や香りは全て揃っていた。澄まし汁のような香りの越前カニのダシもきちんと出ている。香料や調味料で適当に誤魔化すのではなく、正攻法で真面目に仕事をしていることが想像できる。
ただこれだけだと単に上品なだけでひ弱な味に過ぎないのだが、付属の具はキノコだけでなく赤ピーマン、唐辛子、昆布が入っていて、さり気なく酸味と辛さと(カニとは違う)うま味を付加して複雑にしている。
いや~、こんな味の作り方のラーメンは即席麺はもちろん店舗でも経験がないよ。もちろん基本は上品系なのでエネルギッシュなラーメンを望む人にはまるで向かないし、下手な店鋪のラーメン以上の価格なので、おいそれとは薦められるものではない。
でもここには謎解きを嗜むような知的冒険の世界がある。過剰な調味料や香料で汚れた舌をデドックスするための良いきっかけになるかもしれない。
麺は2.5mmの角断面で、縮れはない。そうめんやマルタイを太めにしたような舌触りで、食べる時の長さは14cm弱と短い。食べ始めは歯応えがスコスコ明確で、だんだんしなやかに変化するが、決してだらしなくはならず、これはこれで悪くない。
スープは透明感がある濃い色。最初の一口目は塩分や醤油、旨みの全てが薄いと感じたが、じっくり味わうとどれも過不足なく出ていた。誇張のない自然な味わいで、お澄ましのようなカニのうまみも上品。これ見よがしで作為的なカニ風味のスープとは全く違う世界がある。
キノコや昆布などの具がいろいろ入っていて、香りも歯応えも楽しい。赤ピーマンの酸味と唐辛子の辛さが味に緊張感を与える。
国名 | 日本 |
ジャンル | 袋ラーメン |
EANコード | 4 544804 000065 |
会社名 | 古村醤油 |
製品名 | ヒゲコ 越前カニ出汁らーめん きのこ |
謳い文句 | トッピング自慢 味わうほどにほんのりとしみる。本場、越前のカニ風味。 |
調理方法 | ゆで4〜5分分離調理 |
質量 | 内容量122g |
熱量 | 343cal(1,436kJ) |
Na(麺具+汁) | ~g(食塩相当量6.0g) |
付属品 | 液体スープ、かやく(赤ピーマン・椎茸・しめじ・えのき・唐辛子・昆布) |
ノンフライ麺 | ○ (棒状乾燥麺) |
湯切り | 要 |
麺 | 2.5mmの角断面、太めの素麺やマルタイ風の印象で短い、始めクッキリ後にしっとり |
汁・ソース | 透明な濃茶色、上品で攻撃性が弱いが必要な味は出ている、澄まし汁的なカニの旨味 |
具・その他 | 具のキノコは楽しく唐辛子や昆布が変化を与える、高いけれど唯一無二の個性がある |
総合評価 | ★★★☆3.5 |
試食日 | 2024/05/12 |
賞味期限 | 2024/08/31 |
入手方法 | 2023/11/22 Ogura様よりいただく |
税込購入価格 | (810 JPY:同社サイトより) |