No.7256は東洋水産、マルちゃん 赤い天ぷらそば。昨年11月の発売で紅生姜入りの赤いかき揚げ天ぷら入り。No.7246では姉妹品で緑の天ぷらうどんを、前回No.7255では日清のどん兵衛赤鬼紅生姜天そばを紹介している。
マルちゃんの赤いきつねうどんは1978年8月の発売で、姉妹品の緑のたぬきそばは1980年8月。共に和風カップ麺として広く深く認知されている。ここまではライバルである日清のどん兵衛も同様なのだが、東洋水産の絶対的な優位点は、色で中身が判別できることにあると思う。
即席麺にあまり興味のない人でも、「赤」を選べばうどんに油揚げ、「緑」を選べばそばとかき揚げ天ぷらにありつける。これは四十数年かけて東洋水産と消費者が共に築き上げた信頼であり、日清食品が望もうとしても得られない、幸せな関係性である。
しかし今回の品(および姉妹品の緑の天ぷらうどん)はこうした信頼関係を毀損する爆薬、いや、効果がじわじわと出ることからタチの悪いウイルスとか白アリのようなものではないかと思う。
カップ麺に特に思い入れの無い普通の人がスーパーやコンビニへ行き、今日はきつねうどんの気分だと思い赤のカップを購入。それがたまたま今回の赤い天ぷらそばだったならば、帰ってフタを開けたら天ぷらそばが出てきてしまう!哀れな子羊は絶望のどん底へ突き落され、恨みを込めて「マルちゃんに裏切られた~」と断末魔の叫び声を絞り出すのだ。これが信頼関係の喪失である。
一度築いた信頼は放っておいても未来永劫続く訳ではない。きちんとメンテを行い維持する努力も必要だ。もし私が東洋水産の然るべき立場に就いているとしたら、この企画を承認しない。
もちろん、この程度の事なら直ぐに目に見える変化は起きないだろうが、一度緩んだものは二度と戻らない。事実今回の品の後に「マルちゃんお揚げとお揚げのきつねそば」という製品が出ているが、これも赤パッケージなのにそばである。一旦判断のしきい値を緩めてしまうと既成事実が出来てしまい、余程の外圧が掛からない限りもう元には戻せなくなってしまうのだ。残念だけど。
日々新製品情報をサーチするカップ麺マニアなら「赤いのにそばなのか、そう来たか!」とウケてくれるだろうが、こんなのは期間および対象者限定の儚い遊び。そうではない普通の人にとって「いちいち小さな文字を読まないと安心出来ないならば、次からはどん兵衛にしようかな」と行動に移すキッカケになるだろう。
食べてみて、同じ紅生姜天ぷらを具とする日清のどん兵衛 赤鬼紅生姜天そばと同時比較したところ、双方一長一短で拮抗するものの、個々の要素はことごとく相反している印象を持った。だがどちらを選ぶかと問われれば、天ぷらの中に入っている小えびの香ばしさが決定打となり、このマルちゃん赤い天ぷらそばを採る。
比較詳細はNo.7255 日清のどん兵衛 赤鬼紅生姜天そばを参照。
麺は幅2mm強の扁平断面で、どん兵衛系のそばと比べて縮れが強く、また若干の気泡感があり軽い食感。生麺に近付けるのではなく、カップそばとしての気軽さを重視しているようだ。
スープは濁り感がある茶色で、日清のどん兵衛 赤鬼紅生姜天そばと比べて味の輪郭がシャープでキレがいい。
かき揚げは先入れで、食べる時には十分に柔らかい。紅生姜の刺激が爽やかだが、これに加えて小えびの歯応えと香ばしさがあり、味に広がりを感じる。どん兵衛赤鬼紅生姜天そばには無いカマボコが入っている。
国名 | 日本 |
ジャンル | カップそば |
EANコード | 4 901990 373036 |
会社名 | 東洋水産 |
製品名 | マルちゃん 赤い天ぷらそば |
謳い文句 | 紅生姜入りの小えび天ぷらが旨い! |
調理方法 | 熱湯3分 |
質量 | Net88/麺63g |
熱量 | 422kcal (1767kJ) |
Na(麺具+汁) | ~g(食塩相当量1.3+3.2g) |
付属品 | 粉末スープ(ねぎ入り)、かやく(紅生姜入り小えび天ぷら・かまぼこ)は混込済 |
ノンフライ麺 | × |
湯切り | 不要 |
麺 | 幅2mm強の扁平断面、縮れと気泡感があり軽い食感、カップ麺の気軽さを感じさせる |
汁・ソース | 濁りがある茶色、どん兵衛と比べ味の輪郭が鋭くキレがいいが塩辛さや薄さも感じる |
具・その他 | 先入れの紅生姜天ぷらは小えびの香ばしさが伴い効果的、どん兵衛と各要素が対照的 |
総合評価 | ★★☆2.5 |
試食日 | 2023/03/24 |
賞味期限 | 2023/04/22 |
入手方法 | 2022/11/16 相鉄ローゼン |
税込購入価格 | 127 JPY |