No.6657は中国の河南食族人食品科技、食族人 私房牛肉面。中国語の「食族人」をGoogle翻訳にかけると「人食い/Cannibal」と出てきてギョッとするのだが、たしかに野蛮そうで角が生えたムキムキマン(牛?)が鼻息を荒くしている図を見ると、少なくともあんましお上品な製品ではなさそうだ。
さすがに今の時代なら冗談で済まされるだろうが、50年ぐらい前に「中国の奥地に『人食い』って即席麺があるらしいゾ」なんて噂を耳にしたら、結構多くの人が本気で「まさか人肉風味か?」と思ってしまうだろう。まあよくこんな奇抜な名前とパッケージのグラフィックを採用したものだと感心する。
▲この会社の製品はみんなこんな感じ。よくやるよ。
茶色で艶のないクラフト紙のようなカップはNo.6627嗨吃家で見られたものと同じもののようだ。どちらも中国河南省の会社なので、何らかの関係があるものと思われる。見た目の頼りなさもあって、接合部からお湯が染み出るのが心配だったが、結果的には何も問題は無かった。
中身はスープやかやくの小袋が六包も付いてくるゴージャスな仕様、なんだけど、作る際にいちいち開封する手間が掛かるので、せめて半分ぐらいに集約して欲しいんだけどなあ。
食べてみて、意外にまとも。例えるならば情け無用で極悪非道の悪役レスラーが、実はオフ時に社会貢献のボランティアを行なう愛の人だったような印象。中国製即席麺の常で塩分と化学調味料が容赦なく強い味はしょうがないけれど、味の根幹というかボディが結構しっかりしており中抜け感がしない。
麺は細くて白いノンフライ、縮れ無し。かん水は使われていないようで、見た目や香りはそうめんのようだ。だが輪郭がボケたように曖昧で歯応えも少しネチャッとした感じ。気泡感は無いが軽めの食感。味や香りでの自己主張はせず、スープに従属するような麺である。
スープは唐辛子の刺激がドーンと前に出てきて、それを強い塩分と化学調味料のうま味が後押しする。典型的な中国製マイナー即席麺の構造である。しかし、一皮剥くと化学調味料ではない牛肉のうま味もきちんと出ており、これがスープ全体を下支えしており重厚さを醸し出す。決して安直な味ではない。ハリボテの人形だと思って叩いたら中に人が居た、ような感じ。
フリーズドライの具が三包付いており、牛肉は繊維質だが味が染みており、肉厚の椎茸は歯応えと香りで貢献する。ハーブ類や唐辛子の乾燥野菜も一応華やかさを出している。どの具もそれなりの演出効果を発揮していると思う。
中国というのも面白い国だ。共産党による独裁体制・監視社会の下で個人の自由も大きく制限されて生き辛そうに見えるのだが、その一方で今回のように自由奔放に振る舞う会社や製品が存在する。現在のコロナ禍を日本から観るにつけても国家としては全然信頼が出来ないと思う反面、民間の発想の豊かさや実現力などでポテンシャルの高さをヒシヒシと感じるよ。
国名 | 中国 |
ジャンル | カップラーメン |
EANコード | 6 971807 590107 |
会社名 | 河南食族人食品科技 |
製品名 | 食族人私房牛肉面 |
謳い文句 | ENERGY食族 |
調理方法 | 熱湯4〜5分 |
質量 | Net100/麺60g |
熱量 | 398kcal (1668kJ) |
Na | 2.95g |
付属品 | ペースト状スープ、粉末スープ、調味油、牛肉、椎茸、かやく(ねぎ・唐辛子)、フォーク |
ノンフライ麺 | ○ |
湯切り | 不要 |
麺 | 細いノンフライ麺、無かん水らしく白くそうめんのような匂い、輪郭と歯応えは曖昧 |
汁・ソース | 唐辛子の辛さと塩分、化学調味料が強いが、その裏にしっかりした牛ダシが出ている |
具・その他 | 具の牛肉や椎茸は歯応えと香りで存在感大、派手なパッケージだが中身は意外に堅実 |
総合評価 | ★★☆2.5 |
試食日 | 2020/03/25 |
賞味期限 | 2020/02/23 |
入手方法 | 2019/07/18 Brisbane (Australia) |
税込購入価格 | 3.99 AUD (≒303 JPY) |