No.7117は鳥志商店、博多中華そばとんこつ。14年ぶりの試食となる。昔から全然デザインが変わっていないなあ、と思いながら過去の袋を並べてみたところ、細かな箇所が結構異なっていた。
▲左から2001年版、2008年版、2022年版
2001年版は袋のサイズが違い、創業/創立年表記も違う
今回食べたものは「とんこつ」の右側にある赤文字が「化学調味料不使用」なのに対し2001年版は「化学調味料かんすい無添加」であり、2008年版は「化学調味料・合成保存料不使用」になっている。同社サイトを見ると現在でもかんすいも合成保存料も不使用と明記されているので、消さなくてもいいのにと思ってしまうよ。なお裏面の作り方説明では2001年版はゆで汁でスープを溶く方式が併記されているのに、2008年版以降は消えている。
食べてみて、自然な佇まいのスープに改めて感銘を受けた。何も突出する部分が無いものの、足りないものも無く、全てが均等に満たされて安定している。「化学調味料不使用なのに~」という言い訳は要らない。結構な高価格(税込約313円で購入)であるが、たまには贅沢をしてみようという際の選択肢になり得る。
安いものを良く見せようというテクニックは様々な分野で工夫され、映像なら輪郭を強調したり彩度を上げたり、音響なら例えば80Hzと6kHz辺りを持ち上げてブンブン・シャカシャカにすればパッと見たり聴いたりした際の「映え」をある程度盛れるもの。悪く言えば誤魔化しとハッタリ、手練手管だね。
食べ物、即席麺も同様で、魔法の粉や謎のフレーバー怪しい刺激物質をドバドバ混ぜて美味しさの演出を行うのが日常茶飯事だ。但しこれらはいかにしてコストを掛けずに顧客の満足を最大限に引き出すかの技術でもあり、決して悪いことだとは思わない。というかこれを否定したら即席麺マニアなんてやってられんか。
しかし今回の品はピュアオーディオや8K映像の如く極力色付けや部分的な強調をせず、ダイナミックレンジが広いく自然な味の再現を目指しているように感じられ、こうした製品が日本の市場に存在することを大いに支持したい。選択肢の広さは即席麺文化の豊かさでもある。(但し本製品は刺激が弱いので、食べてカラ元気を出そうとか気合いを注入しようとする用途には全く不向き)
▲スープの小袋が大きい=濃縮の度合いが低い
映像や音響データに例えれば低圧縮率のようなものか。
麺は2mmの細い正方断面だが、頼りなさは一切無く、しっかりした食感を持っている。ベトつかずにサラサラと流れるように食べられる。下手な主張はせず、寄り添うようにスープをサポートする麺である。
スープは低濃縮で、とても自然な喉越しの豚骨味。獣臭さや癖の強い香辛料は無く、とても素直なスープだという印象。化学調味料を使わないのにうま味や力感は十分以上に出ており、健康食品的な物足りなさは一切感じない。脂っぽさや辛い刺激は控えめ。
全体的に尖った部分が無く、雑味や余計な贅肉っぽさを感じないスッキリした印象である。麺を湯切りすることも影響していると思う。引き算の美学というか、ゴテゴテした要素をどんどん追加してゆく昨今の即席麺とは真逆の行き方なのだが、それでいて十分な満足感を得られる。
このハッタリの無い味ならば連食しても飽きないだろう。高価格を納得させてくれる製品。
国名 | 日本 |
ジャンル | 袋ラーメン |
EANコード | 4 974942 350010 |
会社名 | 鳥志商店 |
製品名 | 博多中華そばとんこつ |
謳い文句 | 化学調味料不使用 国産小麦粉使用 |
調理方法 | ゆで2〜2.5分分離調理 |
質量 | Net113/麺80g |
熱量 | 371.1kcal (1554kJ) |
Na | ~g(食塩相当量5.8g) |
付属品 | 液体スープ |
ノンフライ麺 | ○ |
湯切り | 要 |
麺 | 細い角断面、表面にぬめりあり、しなやかさと重量感があり頼りなさは全く感じない |
汁・ソース | 喉越し自然、獣臭さや強い味香り刺激は無い、化調不使用ながらも旨味や力感は十分 |
具・その他 | 素直で雑味や飾り気が無い味、連食しても飽きない、高価格だが質感良、存在価値大 |
総合評価 | ★★★☆3.5 |
試食日 | 2022/07/15 |
賞味期限 | 2023/01/01 |
入手方法 | 2022/05/11 Food & Company |
税込購入価格 | 313 JPY |