No.6594はひかり味噌、麺楽 天ぷらそば。輸出専用品である。ひかり味噌は長野県の会社で、味噌を扱う会社として知ってる!という人は多いだろう。一方で「ひかりみそぉ~?」と頭の上で疑問符が三個ぐらい点滅している人もいるはずだ。なにせ国内では即席麺を販売していないのだから。Webサイトを見ても即席麺に関することは何も語られていない。と思ったら英文ページには製品の紹介がされていた。
諸々の状況証拠から見て生産量は少なそうであり、味噌を本業とする同社が即席麺の生産ラインを所有しているとは考えにくい。製品企画や味決めはともかく、製造は他所へ委託していると考えるのが妥当だろう。とすると何処が作ったのか?
パッケージやスープの小袋を見ても、製造者を指し示す痕跡は全く見られない。そこでカップの形状に注目すると、フランジ外周の直径145mmで底部が丸まったどんぶり型。どん兵衛や緑のたぬきも大体直径140~145mm程度で似たような形である。
しかし今回の品はカップ側面上部に段が付いているのが特徴的。直径160mm以上とか背が高い大盛り用カップであればこのような段を付けるケースは多数ある(※1)が、レギュラーサイズでは滅多に見掛けないもの。
※1:大型カップのみで採用例が多いことから、お湯を注ぐ量の目安線ではなく、容器の強度を確保するための処理だと推測する。
▲答えはそこにあった。底である。
レギュラーサイズで段があるカップを、過去に試食した製品の側面写真から検索したら、山本製粉のものが該当した(No.4624など)。そしてその裏面底部写真を見たら、「G-77」という記号およびマーク類が一致した!(※2)今まで誰の役にも立たないと思いつつ撮り続けてきた裏面底部の写真が初めて真相解明の糸口となって日の目を見たよ。
※2:ちなみに下の「35」という数字は異なっていたが、これはたぶん金型のキャビティ番号(多数個取り成型金型の識別用)
よってこのひかり味噌と山本製粉のカップは同じものを使っていると断定する。とはいっても即席麺を作る会社がカップも作っている訳ではなく外部から調達しているのだろうから、たまたま同じ業者から汎用のカップを購入しただけという可能性もある。
でもだがしかし、今まで本ブログで山本製粉は海外展開を積極的にしていること(※3)、輸出専用のWismettac社Shirakiku極旨シリーズは山本製粉製っぽい(※4)、等の話をさんざん書いてきたので、今回のひかり味噌の麺楽シリーズも山本製粉が作った可能性が高いと認識している。(※5)
※3:輸出管理や規制対応へのノウハウが豊富にあるはず
※4:のちにNo.6505 Goku-Uma豚骨ラーメンで紹介したカップを確認したところ、レギュラーサイズなのにやはり段が付いていた
※5:まだ決定的な証拠は得ていないので、確かな情報をお持ちの方はコッソリ教えて下さい
食べてみて、海外向け製品ではあるが日本人が食べても何ら違和感のないカップそばである。ただしあまり高級感はなく、ディスカウント店で税込100円以下で売られるような水準だ。でもずっと海外に居る日本人が、ピザだのハンバーガーばかり食べていて飽きてきたと感じた中でこの製品と出会ったら、嬉しくて泣いちゃうかもしれない。
麺は細めの角断面で輪郭は明確。でも柔らかめで気泡感があり、軽めの食感。どん兵衛よりも緑のたぬきの麺に近いと思った。香りは希薄だし決して生の蕎麦みたいだとは感じないが、カップそばに求められる最低限の質感は持っている。
つゆは薄口で、鰹や鯖、昆布のうまみが強く出ている。フタには関東風と書かれているが、醤油濃度は高くない。結構甘めで重厚とか奥の深さなどは感じられない。また七味唐辛子等のスパイスは入っていない。
天ぷらは大きくて存在感があるが、吸水前にかじってもあまり歯応えの軽快さとか揚げ物の香ばしさは感じられない。またつゆを吸うとだらしない座布団のような印象になり単調である。本当に衣だけであり、他社であるようなコリコリした香ばしい海老やら青のりの匂いなんて要素は無い。
こう書くと個別の要素をうんと貶しているようだけど、実のところトータルで見るとそれなりにバランスよくまとまっていて、憎めないような親しみやすさが感じられるのだ。なので日本食が少ない異国の地でこの製品を食べたら、とても高い満足感を得られるだろうと思われる。(※6)
※6:わざわざ日本で食べる意義は無い
国名 | 日本 |
ジャンル | カップそば |
EANコード | 4 902663 009542 |
会社名 | ひかり味噌 |
製品名 | 麺楽 天ぷらそば(輸出専用品) Japanese Tempura “Soba” |
謳い文句 | 鰹だしをしっかり利かせた関東風のつゆ |
調理方法 | 熱湯3分 |
質量 | Net93.7/麺65g |
熱量 | 480kcal (2010kJ) |
Na | 1.76g |
付属品 | 粉末スープ、天ぷら |
ノンフライ麺 | × |
湯切り | 不要 |
麺 | 細めの角断面、輪郭は明確、気泡感があり柔らかめで軽めの食感、緑のたぬきに近い |
汁・ソース | 関東風だが醤油濃度は薄い、甘めで鰹や昆布ダシは強い、やや粉末っぽい、刺激無し |
具・その他 | 天ぷらは大きいけれども単調、個別の要素は安っぽいがバランスが良く親しみやすい |
総合評価 | ★★☆2.5 |
試食日 | 2020/01/06 |
賞味期限 | 2019/12/29 |
入手方法 | 2019/06/07 New York (USA) |
税込購入価格 | 3.49 USD (≒377 JPY) |