No.6350は明星食品、中華三昧 四川風味噌拉麺。中華三昧は高級即席麺として1981年10月に発売され、一時的に多くのフォロワーを生み出すほどのヒットをする。結構最近まで製品の種類を表す名前に味噌とか醤油とか塩といった味の表記は無く、味噌味は「四川風拉麺」という名であった。
当初から製品の下部に小さく「ピリッと辛味のきいたみそ味スープ」などとは書かれていたが、四川=味噌、広東=醤油、北京=塩といった関係性を当時の人が認識できたとは思えず(今でもそうか?)特に醤油と味噌はパッケージの基調色が似ていたからパッと見の識別性が悪かった。一方、この製品のお陰で広い中国の、地域ごとの料理の特徴をおぼろげながら理解した人も多いだろう。
かくいう私も中華三昧を食べることによって四川料理=唐辛子と花椒による痺れる辛さ、広東料理=オイスターソースや帆立など海産物のダシ、北京料理はまろやかで優しい味(ちょっと曖昧だな)、というイメージを教わったと言って良いだろう。それが正しいものかどうかはさておき、私の人格形成に少なからず影響を与えていると思っている。
出た当時から紙製の袋を使い続けているのも特徴的。最近は安い袋麺でも遮光性のあるアルミ蒸着樹脂シートの袋を使ってキラキラしたメタリックな輝きで見栄えを競うけれど、中華三昧はそうした世界とは別次元にいて、独自の世界を作っていることを象徴するようだ。
食べてみて、特にスープは昔からのイメージをきちんと維持しているのが嬉しいね。この安心感こそが長寿製品の秘訣であろう。実際はいろいろな部分が少しづつ変わっているんだろうけど、食べてみて自分が学生時代の頃に「帰ってきたよ」という気持ちになれるのだ。
現在は正麺やラ王など普及価格帯の袋麺の質感がレベルアップしているので、中華三昧の相対的な位置付けが下がってしまっても不思議はないのだが、出た当時の特別なプレミアム感のようなものが今でも伝わってくるのは素晴らしい。
細かく言うなら麺は結構変わっている。出た当初の中華三昧はどの味の麺も薄くて痩せた印象があったし、小麦粉の比率が少なくて麺が透き通るような感覚だったのが、今風なふくよかで弾力感のあるものになっている。昔の痩せた感じも決して嫌ではなかったのだが、懐古趣味の無い人にはふくよかな方がいいのだろう。
スープはまさに中華料理の味。複雑で深い。心地よい辛さ。麺とスープだけでも完成させた味であり、何も物足りなさを感じることは無いが、一方でどんな具を入れても受け容れてくれるような懐の深さもある。まるで四川地方を流れる長江の川のようだ(見たことは無いけど)。
若干の思い出補正、想い入れ補正も入っているけれど、現在の袋麺の中においてもきちんとした個性と質感を備えている製品だと思う。
国名 | 日本 |
ジャンル | 袋ラーメン |
EANコード | 4 902881 053778 |
会社名 | 明星食品 |
製品名 | 中華三昧 四川風味噌拉麺 |
謳い文句 | 豆板醤と甜麺醤のコクと旨み |
調理方法 | ゆで4分 |
質量 | Net103/麺80g |
熱量 | 375kcal (1570kJ) |
Na(麺具+汁) | 1.2+1.3g(食塩相当量3.1+3.3g) |
付属品 | 液体スープ、粉末スープ |
ノンフライ麺 | ○ |
汁なし麺 | × |
麺 | 黄色っぽい扁平角断面、今は昔と違いふくよかで弾力感がある、スープに合っている |
汁・ソース | 中華料理の香り、複雑な味と香り、適度な辛さ、昔からの印象を変えずに保っている |
具・その他 | 白胡麻入り、具無しでも物足りなさは感じないし、どんな具でも受け容れる懐の深さ |
総合評価 | ★★★☆3.5 |
試食日 | 2018/11/20 |
賞味期限 | 2018/12/16 |
入手方法 | 2018/09/10 業務スーパー |
税込購入価格 | 117 JPY |