No.5826は徳島製粉、金ちゃん　トクフン食堂　醤油味。トクフンはたぶん徳島製粉のことだろう。金ちゃんヌードルと同様に、今となっては珍しい二重構造の樹脂カップを採用している。フタを含めると樹脂成型パーツが三点、安価な製品の割には豪華な構成である。

カップ麺の黎明期、初めにカップヌードルが発泡PS材の成型カップを引っ提げて登場し、その後の追従者たちも似たような構造のカップを採用したが、特許問題もあって・・・・・・そのうちシートを成形した樹脂カップを二つ重ね、隙間に僅かな空気断熱層を設けた二重構造カップが出てきた。どこが最初なのか正確な情報は知らないが、自分はエースコックの製品で初めて目にした記憶があり、一世を風靡した焼きそばバンバンなどもこの形態。またジャバラ状の紙で断熱するコルゲート構造のカップも出てきた。これは明星カップリーナ、カップスター、マルちゃんきつねうどん辺りから。さらに海外へ目を向けると、日本には無いような構造のカップも色々ある。

二重構造樹脂カップはメジャーとは言わないまでも、一時期は結構よく目にしたものだ。しかしコスト的に不利なのだろうか？平成の時代になるとあまり見掛けなくなる。それでもぺヤングソース焼そばや今回の徳島製粉金ちゃんシリーズは21世紀に入ってもずっと頑なにこの構造のカップを守ってきた。しかしぺヤングは2014年暮れ「あの事件」で生産を一時中止、翌6月に復活した際には二重構造カップを捨てて一般的な発泡PS材に変更してしまった。なので現存する二重構造樹脂カップ麺は（私の知る限り）世界でただ一つ、徳島製粉の製品群しか無くなってしまったのだ。これはもう、現存する貴重な食文化遺産だと言っても過言ではない。