No.6640は日清食品、出前一丁。日清食品は 1958年にチキンラーメンを発売して市場を席巻するも、競合がスープ別添で鍋で茹でる方式の製品を続々と送り出し、1966年にはサッポロ一番とチャルメラが登場して大ヒット、チキンラーメンは形勢不利となる。そんな状況下で日清食品が起死回生の一撃として1968年に送り出したのがごまラー油の付いた出前一丁である。
現在出前一丁を製造するのは日本の他に香港・シンガポール(製造は他国?)・ハンガリー(ドイツ日清)。ごま油の付いた麻油味は全地域にあるがシンガポール版のみ未試食で、現物には何度も遭遇しているものの五個パックのために購入を躊躇してきた。シンガポール版のみHALAL認証品で、豚肉由来材料を使わないため味が明確に違うだろうと推測しており、いつか必ず入手する!
前回No.6639香港版麻油味の試食記で日本版と香港版との差異をおおよそ書いてしまったけど、痩せていてアッサリの香港版に対してリッチでお節介な味の日本版という構図であり、麺の舌触りの違いも大きい。このため同じ出前一丁という名前でも、ごま油という共通項がある程度で強い相関関係は無い。一方で香港版の香辣麻油味とただの麻油味は明確な相似性がある兄弟で、辛いのが好きか嫌いかで食べ分ければいいようになっている。
食べてみて、香港の出前一丁と比べて厚い味。とはいっても日本の袋麺の中で出前一丁が特に装飾的な味だとは思わないので香港版が薄いと表現すべきなのだろう。だが味の厚い薄いが善し悪しと直結している訳ではなく、私は(加齢のためもあって)過剰な味付けに少々辟易してきていることもあり、素っ気ない味の製品にも一応の存在価値を認めるものである。まあ好みでどうぞということだ。
麺は香港版より日本版のほうが黄色い。見た目は日本版の方が遥かに美味そうだけど、これは小麦粉の質とかかん水の量とかではなく、単純に着色料の違いのように思われる。細くて表面はツルツル滑らかで柔らかめ。ザラザラしている香港版よりも高級っぽく感じられる反面、なんだか厚化粧をしているみたいでもある。とはいっても日本の袋麺の中ではいたって普通の麺である。
スープは濁り感があり、醤油の味と香りをきちんと感じさせるもの。粉末スープとしては手堅く全方位バランスでまとまったもので、香港版と味の方向性が大きく異なることはない。しかし麺と同様に舌触りや喉越しがスムーズに感じられる。ただ本質的な部分での高質さとか潤いという類のものではなく、あくまで演出が上手であるという感じだ。
ごまラー油は適度な刺激と香ばしい匂いがしてとても効果的。ただ二口三口食べるうちにみるみる効力が失墜してしまい、存在を忘れてしまいそう。この辺は香港版のごま油でも同様。しかしこの日本版は白胡麻の粒々がたくさん入っており、こちらは香りと歯応えで最後まできちんと存在を主張する。
というわけで、総合評価は香港版麻油味が★2.0点に対し日本版は★2.5点と差を付けた。日本版の方が全体的に整っているというか、良く見せるための演出を怠っていないように感じられたのだ。対して香港場はスッピンに普段着という飾らない感じであり、この点に価値を見出す人がいても全然おかしくないと思う。
国名 | 日本 |
ジャンル | 袋ラーメン |
EANコード | 4 902105 001301 (5p:051306) |
会社名 | 日清食品 |
製品名 | 出前一丁 |
謳い文句 | しょうゆ味 香りまでおいしい!ごまラー油 ごま約1000粒分のセサミン入り |
調理方法 | ゆで3分 |
質量 | Net102/麺92g |
熱量 | 463kcal (1938kJ) |
Na(麺具+汁) | 〜g(食塩相当量1.8+4.1g) |
付属品 | 粉末スープ、調味油 |
ノンフライ麺 | × |
湯切り | 不要 |
麺 | 細いが香港版とは違い表面はツルツル、粘り気が強い噛み応え、経時変化は大きい方 |
汁・ソース | 濁り感があり醤油味、弱い味ではないが突出感は無い、香港版より潤いがあり装飾的 |
具・その他 | ごまラー油はピリ辛でいい香りだが持続性が無い、白ごまは大量、ソツがない優等生 |
総合評価 | ★★☆2.5 |
試食日 | 2020/03/04 |
賞味期限 | 2020/02/10 |
入手方法 | 2019/09/04 相鉄ローゼン |
税込購入価格 | 354 JPY/5p |