No.6431は日清食品、チキンラーメン アクマのキムラー。いつものチキンラーメンにキムチ等のかやくと調味油が付いて、三個パックで販売されるもの。最近MADMAXと称する激辛版も追加された。
NHKの朝ドラ「まんぷく」が三月で終了した。私が朝ドラをほぼ欠かさず観るなんて生まれて初めてのことだが、即席麺を扱った内容でもあり十分楽しめた。フィクションとはいえ劇中で登場する固有名詞を安藤百福氏、日清食品、チキンラーメン等に置き換えて観る人も多かっただろう。
だからこそ、ドラマが製品開発の苦労談に差し掛かってくると私の心には少し受け容れ難い抵抗感があった。このストーリー展開だと(日清食品が望むところの)歴史観の固定化が決定的になっちゃうなあ、と。
私はチキンラーメンが発売された1958年8月にまだ生まれておらず、即席麺の黎明期をこの眼で見た訳ではないのだが、拙書「日本懐かし即席めん大全」を執筆する際に図書館に通うなどしてこの時代から昭和末期に至る資料を数多く調べてみたところ、チキンラーメンとともに「鶏糸麺」「長寿麺」という製品の存在が浮かび上がってきた。
麺を油で揚げることで保存性を上げ、お湯に浸して麺を戻すという点ではみな共通する。鶏糸麺はチキンラーメンに先立つ1958年4月の発売、長寿麺はさらに早い1956年の南極観測隊に試作品が持ち込まれている、とのこと。安藤百福氏および日清食品もこの二製品とは強い関わりを持っていて、特許抗争および権利を売買した事実が存在する。
なので「まんぷくラーメン」のストーリーをそのままチキンラーメンの開発物語に置き換えてしまうと、それはちょっと美化されすぎたファンタジーの領域に入ってしまうと思えるな。
まあこのBlog上で真実はこうだ!と大袈裟に問題提起する意図は無いけれど、「諸説あります」のうちの一つだけがスポットライトを浴びて突出してしまい、その他の説が闇に葬られ消え去ってしまうのは何とも残念でもったいない気がするのだ。
もちろん安藤百福氏と日清食品が現在の即席麺業界の礎を築いた最大の立役者であるという説に異存は無い。鶏糸麺や長寿麺は食品としての完成度が低かったらしく量産・品質管理・流通・広報の体制も確立できなかったので、日清がチキンラーメンで初めて商業的な成功をして業界を主導・発展させたことは結果的に良かったのだろう。
まあいわゆる「歴史」なんて、為政者や権力者の正統性を誇示するための道具として後から簡単にいくらでも作り変えられてしまうもの、ぐらいのつもりで接するのがいいのだろうと思う。
日本懐かし即席めん大全では私なりの即席麺に関する歴史観を示すべく、書中に鶏糸麺と長寿麺の名前をねじ込むことが出来た。こんなことでもちょっとした達成感を得られたよ。
食べてみて、小さな具材と調味油によってチキンラーメンが激変するね。結構新鮮に感じられた。麺やスープはいつものチキンラーメンと大差無いと思うのだが、遥かに華やかで刺激的。ラー油の辛さ、キムチの酸味、ニラの香り、これらがとてもうまく調和している。これなら他に具を入れなくても物足りなさは感じないだろう。辛さは程々で心地良い程度。オプションで生卵を入れると良くも悪くも重厚というか鈍重な感じになる。
今回の品は三個パックのみの販売であり、三個あるのだから少しずつ作り方を変えてみた。作り方の説明書きには丼お湯入れ方式(三分待ち)の他に鍋で一分煮込む方式も推奨されており、ラーメン本体の基本的性格は大して変わらないが、加熱することにより生卵の温度も高くなり、よりスープとの親和性が増すと感じた。ちょっとした野菜などを一緒に茹でてもいいだろう。
但し洗い物などの面倒くささも増えてしまう。私だったら生卵の投下までは丼お湯入れ方式、肉や野菜などの具を追加するなら鍋で茹でる方式を採るだろう。
国名 | 日本 |
ジャンル | 袋ラーメン |
EANコード | 4 902105 104958 |
会社名 | 日清食品 |
製品名 | チキンラーメン アクマのキムラー |
謳い文句 | やみつき旨辛 具材付き 生たまごを入れるともっとおいしい! |
調理方法 | 丼お湯入れ3分/ゆで1分 |
質量 | Net88/麺85g |
熱量 | 409kcal (1712kJ) |
Na(麺具+汁) | 〜g(食塩相当量2.3+3.3g) |
付属品 | かやく(白菜キムチ・味付卵・ニラ)、調味油 |
ノンフライ麺 | × |
汁なし麺 | × |
麺 | 細めの扁平断面味付け麺、揚げ物の香ばしさ、普段のチキンラーメンと変わらぬ印象 |
汁・ソース | ラー油の辛さとキムチの酸味とニラの香りがバランス良く調和する、華やかで刺激的 |
具・その他 | 激辛ではなく心地よい刺激、茹でて作っても印象は変わらないが具を入れる場合は良 |
総合評価 | ★★☆2.5 |
試食日 | 2019/03/06 |
賞味期限 | 2019/03/10 |
入手方法 | 2019/02/21 ドン・キホーテ |
税込購入価格 | 170 JPY/3p |