2006年以来、八年ぶりに台北へ行って、即席麺56個(袋麺27個、カップ麺29個)を購入してきた。前回の訪台は海外における即席麺購入のノウハウが乏しかったので、今思うと随分効率が悪いことをしていたが、今回は綿密な事前準備を行い、事前に期待していた以上の収穫をあげることができた。
▼今回の収穫(この写真は52個しか写っていない)
台湾のスーパーやコンビニの即席麺売り場で良く目にするブランドは、
・統一 (統一企業)
・維力 (維力食品工業)
・味丹 (味丹企業)
・味王
・康師傅 (味全食品工業)
が五奉行といったところ。 統一と康師傅は中国大陸でもライバル関係にある(康師傅の方が優勢)。
この中での首位は統一で、街中をぐるっとみて回った感じでは市場の三分の一程度を占めている印象。二位以下は団子状態で、維力の勢いがちょっと抜きん出ているかも。店舗により占有率の順位はまちまちである。
八年前に来たときは康師傅の存在感がもっと高かったのに、今回は元気が全然無かった。と思っていたら、この10月末に中国の康師傅が味全食品工業への商標権利用を取り消したとのこと。台湾で夏頃に起きた「下水油事件」が絡んでおり、結構複雑な裏事情があるようだ。
上記五大ブランドで国産即席麺市場の殆どを占めてしまうが、それ以外には下記のようなブランドがある。
・台酒TTL (台湾煙酒、製造は維力食品工業)
・天恩素食 (素食専門)
・阿舎食堂 (阿舎食品)
・力山食品
・南興食品 (ビーフン専門)
・旺旺 (旺旺食品、製造はインドネシアのIndofood)
・台南食品
また、コンビニの全家便利商店(ファミリーマート)では PB商品を販売していた。製造は味丹。
台北市街にはいたるところにスーパーやコンビニが立ち並んでいる。
スーパーは全聯福利中心・頂好(Wellcome)・松青・Carrefourなどといったチェーン店があり、コンビニは7-Eleven・全家便利商店・OK Mart・Hi-Life等の看板がすぐに見つかる。
今回も事前にスーパーの場所を調べてから出向いたので、効率的に回ることができた。いろいろ回った中では、全聯福利中心で売られている製品が最安値の場合が多かった。
▼スーパー(Carrefour)の即席麺売り場。袋麺は殆どが五個パック販売。
スーパーで即席麺が占有するスペースは日本のそれと近い印象。インドネシアやフィリピンのような、圧倒されるような広さではない。袋麺とカップ麺の比率は同等かカップ麺の方が多いぐらい。自分が見た中では日本に次いでカップ麺の需要が多いようだ。
また、高額製品や健康志向の製品など品揃えがバラエティに富んでいる。例えば各社からレトルトの肉が入っている高級品が販売されており、袋麺でもカップ麺でも一定の市場を形成している。日本でもカップではとかち麺工房がこの形態の製品を出しているがあまりメジャーではなく、他国でも殆ど見かけない。健康志向の製品についてもノンフライの他、ベジタリアン向けの素食(卍マークが付く)も普通に見掛ける。総じて即席麺に関しては世界的にかなり成熟している市場だと思う。
あと、炸醤麺のような汁なし麺が結構多いのも特徴。残り湯を使ってスープを作る(マルちゃん焼そば弁当方式)ことも普通で、カップ麺の場合はカップが二個付いているものもある。一方、ビーフンや春雨など小麦以外で出来た麺の比率は少ない。一割以下だろう。
台湾の麺といえば牛肉麺。なので即席麺でも牛肉味の製品が多い。総じて香辛料が強く、花椒や八角の匂いが華やかであったり、日本の製品よりも味が濃過ぎると感じる製品が多い。また、麺のコシとか歯応えにはあまりこだわらないようで、フニャフニャだったり無骨に感じるものが結構ある。このため、日本人にとっては必ずしも受け入れ易いとはいえず、好みが分かれる製品が多いと思う。
入国した際(2014-11初旬)の為替レートは1TWD(台湾ドル)=3.7円程度。国産の袋麺は普及品で10~25TWD、レトルト具付きの高級品で50TWD弱程度。カップ麺は普及品で18~30TWD、レトルト具付きの高級品で50TWD程度。
輸入品は韓国製、とくに農心が強い(カップ含む)。悔しいけどアジアの各国市場に満遍なく浸透している。農心の場合、台湾へは中国製ではなく韓国製が入ってきている。その他の国ではタイのMAMA・YumYum、ベトナムのVina Acecook・Vifon、香港の日清(出前一丁)・公仔、インドネシアのIndomieなどがあった。但し殆どが袋麺。日本製はスーパーやコンビニではあまり見掛けなかったが、街の乾物屋のような店でマルちゃんの正麺や麺づくりが売られているのをたまに見た。
さて、台湾の即席麺状況を語る上で最も残念なのは、袋麺の販売の多くがが五個パックであることである。スーパーで袋麺を探しても、単品では韓国系の製品ぐらいしか購入出来ない。カップ麺ですら三個パックという形態が結構ある(カップ麺はどんな製品でも一応単品で買えるようにはなっている)。コンビニは4、5種類ぐらいの定番の品を単品で買えるぐらい。
この状況は八年前に訪台した時に把握していたので、今回の収集はカップ麺を主体として考えていた。今回袋麺を27個入手したけれど、実はそのうちの10個以上は台湾以外の国で作られた製品。
(以下雑感)
昔来たときよりも、MRT(都市鉄道)の路線が増えたようで、市内の移動がますます便利になっていた。今回の飛行機はは羽田ー松山路線を使ったので、台北は本当に気軽に行ける外国という印象。
行ったのは11月の初旬。気温は関東圏の九月下旬相当といったところか。歩き回るには丁度いい気候。
食事は屋台や夜市などで、なるべく(即席じゃない)麺を注文するようにした。台湾即席麺のルーツを少しだけ理解できたかも。
▼食事はいろいろな麺類を食べ歩く。
(恒例? 日本じゃ見られないもの)
今回密かに楽しみにしていたのは、日本では絶対お目にかかれない台湾製の高級自動車ブランド、Luxgen の現物を見る事だった。いや~、いるいる、予想よりも頻繁に走っていた。街歩きが面白い。SUV、セダン、MPVを取り揃えているが、実車を見ると、PeugeotやAudi、Porsche、Lexusなどのデザインを混ぜたような感じ。ボディカラーが黒いものは結構どっしりとした存在感があって結構良い印象。Renault・日産系の裕隆汽車から分化したような会社なので、基本性能はたぶん大丈夫なのだろう。
台湾市場でLuxgenは思っていたよりも成功しているように感じたが、一方台湾以外の国々で今から伸びる余地があるのかは疑問。先行きは決して明るいとは思えないので、見られるうちに見ておきたかった、というのが正直なところ。でもがんばれLuxgen!
先日の インドネシア に続く今回の台湾遠征で、合計120個以上の即席麺を仕入れてきた。このため在庫が急激に膨らみ、賞味期限内に試食を行うためのスケジューリングが厳しい。次回の海外遠征は少し時間を開けてから行うことになるだろう。候補地はシンガポール・韓国・ブラジルあたりを考え中。
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