217種類。
これがこの2015年にi-ramen.netが紹介した即席麺の種類である。8月までは週5ペースを堅持していたので今年は250種類を越えそうだなー、と思っていたけど9月中旬に急遽『日本懐かし即席めん大全(辰巳出版)』執筆の話が舞い込んできた。年内の発売が必須という条件であり、出版への対応を最優先で取り組んだ結果、10月以降は試食紹介のペースを大幅に落としたという経緯がある。(YouTubeへアップする動画を作るのにはものすごく多くの時間を費やすため)
でも10月以降に即席麺を食べなかった訳ではなく、7月にシンガポールへ即席麺調達で行った際に五個パックの袋麺をしこたま仕入れていたので、試食記では使わない残りの四個分をせっせと消費していた。即席麺の種類ではなく食べた総数ならば年間で300個以上は食べているはず。
今回の本は前二冊と比べて調べる事項が非常に多かった。前の本は自分が食べた即席麺のことだけを書いたのに対し、今回は自分が生まれる前の製品についても遡って言及するため、資料の発掘や裏取りに時間が掛かってなかなか思うように進まなかった。
私の即席麺パッケージ収集は1982年からなので、それ以前の製品についてはメーカの広報資料を借りるのだが、メーカによって対応がばらばらで気前良く写真を提供してくれるところ、条件が厳しいところ、現行品以外の昔の製品の資料は絶対に出してくれないところなどいろいろあった。このため、とても印象が深い製品だったのに泣く泣く掲載を見送った製品も数多い。また、当初はTVCF画像をたくさん掲載する予定だったけど、ここ数年で著作権・肖像権の縛りが厳しくなったようで、なかなか思うように出来なかった。
一方、パッケージを所有している袋麺については積極的に裏面の作り方説明の絵を掲載するようにした。これはメーカ広報資料に依存する企画では絶対に出来ないことであり、本書の特徴的な部分である。また、即席麺に係わる時間の流れを意識して作ったので、巻末の年表と合わせて歴史的な経緯を一望するには過去に類の無い資料になったと思う。
本当はもっともっとたくさんの製品を紹介したかったが、ページ数(≒本の価格)の制約や読みやすさを勘案し、用意した写真や文章の半分も使わなかった。もし次の出版の機会を頂くことがあれば、残りはその場で公開するようにしたい。
自分で言うのも何だけど、与えられた条件の下では最善の仕事が出来たと思う。インタビューを通じて即席麺業界に係わる人と接触できたのも貴重な体験であった。関係者各位、応援してくれた人、そして本を購入していただいた人へ心から感謝を致します。
次に今年のトピックとして挙げられるのはシンガポールへ即席麺調達遠征に行ったこと。小さな国だけど自国生産の即席麺が市場の半分ぐらい、残りの半分は輸入品なのでスーパーをまわって観ても非常にバラエティに富んでいる。ほぼ全ての袋麺が五個パック販売というのは残念だったが、東南アジアの即席麺の現状を観察するには良いところだと感じた。
このとき購入した即席麺がまだ30種類近く残っているので、来年前半の試食にもしばしば登場することになるだろう。
即席麺調達のための海外遠征は当初年間で3回は行う予定でいたのだが、身辺状況の変化により暫くは中断せざるを得ない見通しである。来年は収集の軸足を国内製品に移すことになると思う。
もう一つ今年のトピックとしては、試食記をブログ形式に移行させたこと。とはいっても以前の形式でも並行して更新しており、二度手間だと思いつつ継続している。以前の形式はもう17年以上の蓄積があり、これはこれで過去の試食記を参照するには都合が良いのだが、如何せんスマホでの閲覧に未対応なのでこのままじゃ未来は無いと思って決断した。(i-ramen.netは少なくともあと15年は続けるつもりでいる)
以前の試食記は定型フォーマットを埋めるだけであり、味の感想も各項目が36文字以内という制約をかけており何とも無愛想なものだった。なのでこの春頃からフォーマット外に製品に対するプチ情報や味以外に対する感想をたくさん書くようにして徐々にブログ化への布石を打つようにして、遂に6月からWordPressによるブログ化を実行した。
8月以降、続けざまにHot Pepper誌、朝日新聞、出版等の話が続けざまに舞い込んできたのは、このブログ化によってi-ramen.netの内容が多くの人の眼にアピールしやすくなったからだろう、と自己分析している。
2016年の展望として、上にも書いたように本来はi-ramen.netの目玉企画である即席麺の海外調達遠征を実行出来そうもない状況である。その分国内製品に回帰して頑張ろう。
あと、今回せっかくブログ化したのだから過去の試食した内容(あと5500食分もある…)も投入して、画像入り即席麺データベース的な機能を持たせるようにしたい。また、今回の出版を通じて昭和期の即席麺製品の発売経緯や企業の興亡がかなりハッキリと判り、初めて知った事実も数多くあるので、本に書かなかった/書けなかった部分を含めてこれらを公開することを考えている。
今年も何人かの方には貴重な即席麺を提供していただいた。深く感謝致します。
それでは、2016年もよい即席麺を!